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2018.07.31

虫歯の感染リスク(なりやすさ)について

こんにちは。歯科衛生士の田中です。

猛暑が続いていており、体調を崩す方が増えています。室内にいるからこそ、こまめな水分補給を心掛けましょう。

虫歯の感染リスク(なりやすさ)について

一生の虫歯リスクが2歳半までに決まってしまうことを知っていますか?

驚く方も多いと思いますが、紛れも無い事実です。
虫歯体質はどの様に決まるのか?その予防法についてお話します。

虫歯体質はどのようにして決まるのか?
虫歯の原因となる虫歯菌はいったいどこから来るのでしょうか?
生まれたばかりの赤ちゃんには虫歯菌はいません。
実は、生まれた後に虫歯の原因菌が人から人へ感染するのです。虫歯菌の主な感染経路は養育者である父母であることがほとんどです。その感染が決まるのが2歳半くらいなのです。

では、虫歯菌がお母さんやお父さんからうつるとして、その時期はいつなのでしょうか?虫歯菌が感染しやすいのは1歳半~2歳7ヶ月くらいと言われています。
その間で虫歯菌がうつる確率が高いのです。
ここで一つ疑問が浮かびます。

「遅かれ早かれ虫歯菌がうつるなら気にしても仕方ないのでは?」
うつるとしても、虫歯菌がうつる時期がすごく重要なのです。
どういう事かと言うと、虫歯菌がうつるのが遅いほど虫歯になりにくいのです。
すこし分かりやすくご説明しましょう。

お口の中に、菌が座れるイスが1000席あるとします。(虫歯菌だけが座れるイスではありません。他の菌も座ることができます。)
早い段階で、虫歯菌がうつる子は その1000席のなかで虫歯菌が200席座ってしまいます。
遅い段階で、虫歯菌がうつる子は 席が他の菌に座られていて10席しか座ることができません。

同じ虫歯の菌がうつるにしても、早い段階の子は 虫歯菌が席を200席占領している。
遅く段階の子はたった10席のみしかありません。
虫歯菌はどちらも親からうっていますが、どちらが虫歯になりやすいと思いますか?
そう、早く感染した子の方が虫歯になりやすいのです。

そしてもう一つ重要な事をお伝えします。先ほどの席のバランスは一生変わることがありません。菌が定着すると席替えは起こりません。見えないところで、すごい事が起こっていますね。

出来れば虫歯菌がうつらない事が一番良いですが、うつるのを遅くすることもすごく重要なのです。
では実際にどれくらい虫歯菌の定着とその後の虫歯になりやすさに影響があるか多くのデータを基にご説明いたします。

スウェーデンでの研究結果では、2歳までに虫歯菌の感染が無かった子供が4歳になった時の虫歯の本数がわずか0.3本でした。
一方で2歳までに虫歯菌の感染があった子供が4歳になったときは、虫歯の本数は、5本もありました。虫歯の本数になんと16倍の差ができたのです!

では、どのようにして感染を防げば良いのでしょうか?大きく分けて対策は4つあります。

その1
養育者である父母が歯科医院で虫歯の治療や定期検診を行う。

少なくともお子さんが1歳になるまでにはご両親の虫歯治療を済ませるのと、その後定期的にクリーニングする事が大切です。
しかも、これはお子さんの為だけでなく、ご自身の歯の寿命をのばすためにも一番重要です。

その2
食器を共有しない、咬み与えをしない。

感染ルートは、食べ物をあらかじめ噛んでから赤ちゃんに与えてしまう噛み与えや
食事中のお箸やスプーンの共有、そしてキスなどのスキンシップです。
しかし、感染ルートをすべて遮断するのはかなり現実的には難しいですし、
スキンシップなどはとても大切ですので止める必要はないです。
しかし、以下の事はトライしてみて下さい。
① 噛み与えをしない。
② お子さんの口に入れる箸やスプーンは、お母さん・お父さんと別の物にする。

お母さんがかじった食べ物を、お母さんの使っている箸でお子さんの口に運ぶと
その度に一緒に虫歯菌も運ばれてしまいます。ぜひ、2歳半まではトライしてみてはどうでしょうか?

その3
砂糖の多い食べ物、飲み物を控える

砂糖をたくさん取ってしまうと感染した虫歯菌が爆発的に増えてしまうのです。
そして増殖した虫歯菌にどんどん占領されていきます。
ですから、2歳半まで時期には、なるべく虫歯菌を座らせたくないので、砂糖を極力控えて欲しいのです。
特にジュースやアメは砂糖の供給時間が長くなるので、決してあげない様にしてください。

その4
虫歯菌を減らすアプローチ

実際には、キシリトールやプロデンティス(口腔内環境を整えるサプリメントのようなもの)を食べると言うことです。
お母さんのお口の中の虫歯菌が、キシリトールやプロデンティスを食べる事によって減っていくのです。
もちろん一生続く訳ではないのですが、食べてる期間は虫歯菌を減らす事が出来ます。

お母さんのお口の中にいる虫歯菌を一時的でも減らす事が出来れば、お子さんに感染するリスクがとても下がります。
もちろん虫歯体質のお母さんお父さんであれば、継続的に食べる事でご自身の虫歯の発生も抑えられます。
ただし、100%キシリトールガムは歯医者さんでしか買えないので注意してください。

ここまで感染経路と予防についてお話しましたが、日々の仕事や家事や子育てで忙しく大変なお父さんお母さんに100%この条件を守るのは難しいと思います。
でもまずは、お母さんお父さん(できれば祖父母にも)にどうして虫歯になるのか?をしっかり知ってもらう事が大切だと思っております。その上で、少しずつトライして頂ければと思います。

市川市行徳(福栄) 予防を中心に小児から入れ歯まで
「いつでも頼れる街の歯医者さん」を目指す
個室診療 はぎわら歯科クリニック